不動尊とは
不動尊とは大日如来の化身といわれ、霊験あらたかな法力をもつ仏様です。火炎を背負い、髪は弁髪に結び、胸には豪奢な 珱珞(ようらく)を下げて、右手に剣、左手に綱をもっています。右目は天、左目は地を見て、憤怒の形相で人の邪気・悪気を親の心に喩えられる慈愛で叱咤し、あらゆる困難に立ち向かい、一切の衆生を救う不動の誓いをその姿に表現しています。
神寺不動尊-世界最大・総高7メートルの塑像
これまで世界最大の塑像として知られていたのは、中国敦煌・莫高窟(とんこう・ばっこうくつ)の交脚弥勒菩薩像です。これは5世紀頃につくられ、高さは3メートル40センチ、今なお制作時の姿をとどめています。
神寺不動尊は高さが21尺、約7メートルで、莫高窟弥勒菩薩像の2倍以上の高さをもちます。体積では実に約9倍を誇る大きさで、まさに世界最大規模といえます。
日本においては、奈良時代に塑像の仏像が盛んにつくられましたが、時代が下る毎に、その技法も簡略化され規模も小さくなっていきました。鎌倉時代においては、肖像が制作されるのみに至り、その後いつしかこの技法を受け継ぐ工人もいなくなりました。製法に関する定かな文献もなく、そのため神寺不動尊は現存する像を研究し制作されました。
塑像・神寺不動尊の技法
粘土でつくられる塑像は、土の自重で崩れないよう心木を入れます。心木は6寸角の檜で組み、『仏説聖不動経』が住職によって書き記されました。葦を一握り大に束ねてシュロ縄で心木の縦横に縛ります。荒づけとして藁の繊維を練り入れた粘土をつけ、中づけとして麻の繊維の入った漉土(こしづち)、その上に漆喰を塗って仕上げます。この漆喰には平成3年に住職が成満した、21日間の断食、21万枚護摩修行における護摩の炭を混ぜています。また台座の岩に、護摩の灰を混ぜた粘土を1箆(ひとへら)づつ、信者の方々に塗り込んでいただきました。

大きさ
総高
7メートル
総重量
40トン
手の平
90センチ
1メートル(41文)
材料
粘土
40トン
藁すき
1トン
シュロ縄
20,000メートル
1尺束・200束
檜材
6寸角・18石
竹材
2尺丸・10束
塗料
光明丹・10キログラム
朱・20キログラム
黄土・5キログラム
松煙墨・10キログラム
金粉・500グラム
膠・5キログラム
装飾品
木彫金彩
剣・綱・珱珞・腕輪・足輪
眼球
磁器金彩・直径30センチメートル